美味しい美味しいかにですが、気をつけなきゃいけないことがあります。それが寄生虫です。かにはあまり生で食べる機会が少ないので気にしたことはないのですが、かににも寄生虫が存在するといいます。けれど問題のない寄生虫もいるようで…。
ならばかににはどんな寄生虫がいるのでしょうか。
甲羅についた黒いやつ
題名を見て「それ見たことある!」と思った方も多いのではないでしょうか。なかなかそのへんのスーパーでは丸々売っていないのでお目にかかる機会は少ないかもしれませんが、冬になると百貨店や鮮魚店で見ることもあると思います。もしくは時期になればテレビやなんかでも写真を見ることがあると思います。贈答用とかの綺麗なかににはついていないこともありますが、甲羅に黒い丸いのが付いてるのを見たことありませんか?実はあれ、寄生虫なんです。
普通に売ってるかにについてるからびっくりする人もいると思います。そんな寄生虫がついてるかに売っていいのか!?って思いますよね。大丈夫なんです。
黒い丸いやつの正体は「カニビル」って言うヒルの仲間の卵なんです。ああいう丸いものが密集しているものを見ると鳥肌が立つ人にはなんとも恐ろしいものですが、無害です。
というのも、ヒルの仲間というので想像が出来ると思うのですが、カニビルは魚などの体に吸い付いて体液を吸うというという特徴があります。ところが、かにの甲羅は硬いので吸い付こうにも吸い付けません。じゃぁなんでかにの甲羅にくっついているのかと言うと単に産卵場所として好都合だった、というだけなんです。なのでかにに何か影響を与えているかというと何も与えていません。なので安心してください。そして、私達が殻をそのまま食べるということはまずありませんので、くっついていても問題ないと言えるのです。
カニビルの有無の賛否
カニビルはついていない方が見た目はいいですよね。けれど、これに関しては色々と意見があります。かには脱皮をするときに体力をたくさん使ってしまうため身があまり詰まっていない、あまり美味しくない状態になると言われています。その点、カニビルがついているかには、脱皮してからある程度の期間が経っているため、脱皮直後じゃない=身の詰まりがいいと言われているんです。
ただ、これには反対意見もあって、カニビルがついているのは確かに脱皮直後ではないけど、かにの脱皮時期と漁獲解禁時期がズレているため、必ずしも脱皮して時間が経ったものではないというものです。
どちらも言われてみれば納得の内容なので、どちらがより正しいかと言われると難しいのですが、カニビルがついているかにが普通に売られているということは、中身に関してはある程度の保証はされているのではないかと思います。
カニビル以外の寄生虫
では、カニビル以外にも寄生虫はいるのでしょうか。
海水種のかには、危険な寄生虫はついていないとされています。なので生で食べられます。ただし、淡水種のかにはそうとは限らないのです。「ウェステルマン肺吸虫」という寄生虫と「大複殖門条虫」という寄生虫がいる可能性があります。あまり聞き馴染みのない名前ですね。
ウェステルマン肺吸虫に寄生されると肺吸虫症という症状を引き起こします。人間が食べた場合、肺の炎症を起こしたり、喀血や血痰などを引き起こしたりします。場合によっては脳や心臓などに転移して障害を起こすというとても重篤な症状を起こすことがあります。
昔、中国の男性で生のかにを酒につけたものを飲むとリウマチが治るという民間療法を信じて実践していた人がいたのですが、頭部に異変を感じて病院に行ったところ、脳内から寄生虫が数十匹発見されたという想像するだけで頭が痛くなりそうな話があります。
大複殖門条虫は下痢や腹痛などの症状を引き起こすと言われていますが、何も起こらないこともあるようです。
どちらも55度以上の高温状態にすれば壊滅しますので、淡水種のかには基本的には生では食べずに火を通すことをおすすめします。
ちなみに淡水種のかにで食用は「モクズガニ」「サワガニ」あたりですね。生で食べるイメージは元々ないので大丈夫だと思いますが、くれぐれもお気をつけください。
まとめ
普段食べているズワイガニとかタラバガニは全て海水種ですので、生でも問題なくいただくことが出来ます。甲羅に黒いカニビルがくっついていても問題ありません。生のかにをお酒につけてもリウマチは治りませんので絶対にやめてくださいね。まず生のかにを入手するのが難しいとは思いますが。
というわけで寄生虫を気にせず美味しいかにをいただきましょう。